木造住宅の天敵「白アリ」
木造住宅の最も手強い天敵は「白アリ」です。白アリによる住宅の被害総額が年間3,000億円を超えるというデータがあり、これは火災による被害額の、実に約2倍にあたります。地球温暖化の影響です。かつて白アリは沖縄でしか見られなかったのですが、1950年代に九州まで繁殖し、60年代には大阪、さらに現在は仙台にまでその姿を見るといいます。ところが、ついに北海道にも現れたという話を聞きました。白アリは全国制覇したことになります。
白アリというと、今でも思い出され心が痛むのが阪神・淡路大震災です。住宅に携わるものとして、多くの住宅が倒壊し、その住宅がいわば凶器となって人命を奪い、また傷つけたことに大きな衝撃を受けました。とくに、倒壊した住宅の多くに白アリの被害が見られたことも衝撃的でした。大阪市立大学が、震度7を記録した2地域で調査した結果では、白アリによる腐朽・蟻害が見られる家の全壊率が89%と非常に高い。白アリの被害がなければ、倒壊せずにすんだといわれます。
木材こそ最高の建築素材と考えていた私にとって、白アリ対策は特別の大きな課題となりました。白アリは、風通しの悪い、湿気の多い場所で繁殖します。そして光のあるところは好まず、床下を食い荒らします。木材の表面ではなく芯の部分にダメージを与えるので、発見しにくいことも特徴なのです。発見しにくいので、どこにどんな被害が及んでいるかも分かりづらい。したがって駆除が難しく、駆除にはコストがかかります。また子供やペットに悪影響を与える薬品を使う駆除方法もあるので、気をつけたいものです。
家を建てるときは、風通しと日当たりのいい家を心がけたいものですが、床下の基礎の上に、白アリをシャットアウトするシートを貼り付けバリアをつくり、半永久的に白アリを寄せ付けない無公害防蟻工法を普及させなければならないと思っています。住宅の資産価値に「白アリ」はまさに天敵なのです。