住宅性能表示制度の活用を
わが国には、これまで長年にわたって住宅にはその性能や機能を表す基準というものがありませんでした。ユーザーは自分で実際に家を見に行くか、メーカーに問い合わせて聞いたり、独自に調べるということくらいしかなかったのです。しかも、メーカーごとにその基準もまちまちだったので、正しく比較するのが難しい状況でした。これではいけないと、国土交通省によって平成12年に施行されたのが、住宅品質確保促進法による「住宅性能表示制度」です。
住宅性能表示制度は、耐震、耐火、劣化対策、省エネ対策、耐風、高齢者配慮、維持管理対策、ホルムアルデヒド対策など9分野29項目について性能評価を行い、4~1等級のランク付けを行います。この3月からは防犯性能も追加され、10項目になっています。性能評価をするのは国土交通省の指定(3月からは登録制)を受けた第三者機関としての性能評価機関です。これによって住宅の性能についての、いわば共同言語ができ、客観的な評価、ランク付けが行われるわけです。画期的なことといっていいでしょう。
「安くても性能が良い家」や「高いのに性能が悪い家」が一目瞭然です。消費者サイドで「良い家」「悪い家」の判断ができることが何よりも素晴らしいのです。ところが現実問題として同制度がスタートして丸5年が経つのですが、決して順調な普及ぶりを見せているとは言い難いのです。新築住宅の着工戸数に対して、住宅性能表示制度の利用率は平成16年度の実績で13.7%(設計評価)にとどまっています。評価費用などコストアップにつながるなど理由はいろいろありますが、やはり一般ユーザーがこの住宅性能表示制度のことを知らないというのが一番だったと思います。
しかし今、住宅性能表示制度は大きくクローズアップされています。言うまでもなく、耐震偽装設計の影響です。一連の耐震偽装事件で一般ユーザーの住宅の品質・性能への要求と検証はことのほか強まっており、その信頼の具体的なよりどころを求めるようになっているのです。また、住宅供給企業も販売する住宅の品質・性能をアピールする必要に迫られており、その具体的な表示なしにはユーザーの信頼を得られず、住宅も売れなくなってしまいます。耐震偽装でユーザーの選択が財閥系や大手メーカーに流れていっているのは、その何よりの証拠です。
こうした背景から、第三者が性能を評価し、表示する住宅性能表示制度が注目を浴びるようになったというわけで、ユーザーも住宅メーカーもいま同制度の活用がにわかに高まっています。その意味では、“災い転じて福”といっていいのかもしれません。価格と性能が一致しない家を買わされて泣かされた消費者も多かったことと思います。しかし、これからは住宅性能表示制度の本格普及によって、これまで不透明だった部分が透明化されていくと期待していいのだと思います。