絶景は命がけ
海を見渡す、高級住宅地と謳われている地区があり、大規模団地が建設され、大勢の人が住んでいます。ここがなぜ高級住宅地かというと、絶景だからだといいます。たしかに富士山が望め、海も見えて眺望のいいところです。しかし、この絶景というのは大変です。この辺りの樹木をよく見ると、幹が皆曲がっています。強風のせいです。台風も上陸し、海からの強い風をまともに受けて木が曲がってしまうのです。そのあたりには鳥も巣をつくらない。危険を感じ取っているのです。猿も住みつかない。要するに動物は本能的に避けているわけです。動物にとって危険な場所は、人間にとっても危険なのです。
海のそばに住みたい、海が見渡せる高台に家を建てたい、という人がたくさんいます。それで、あちこちで海に面した山の斜面を削り、宅地造成して、絶景を売り物に分譲するケースが多いのですが、地盤もさることながら、海辺に住むのは、思ったより以上に難しく、苦労が多いのです。内陸部より台風に見舞われる回数が多いだけでなく、眺望を重視して海に向かって遮るものがないところを選んだのですから、海からの強風をまともに受けることになります。風が家にダメージを与えるのは当然です。それに潮風が屋根・窓の耐久性を弱くします。塩害です。海風が運んでくる塩が、さまざまなものを錆びつかせてしまうのです。海沿いの街では、自動車の耐久年数が恐ろしく短いとよく言われています。
絶景の地は、その景色からは想像もつかないような危険性をはらんでいるのです。絶景を選びますか、安全を選びますか。命のことを考えてみて下さい。