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上足文化

日本人は千年も前から畳の上でゴロゴロできるという文化がありましたが、最近になってようやく西洋も日本に追いついてきたようです。ニューヨーク、マンハッタンの高層住宅のトップハウスには「玄関」があり、ここの住人は部屋に入るときは靴を脱ぎ、室内には、畳の代わりにシャギーと呼ばれる毛足の長い絨毯を敷き、脚の短い座椅子を置いて座卓のように使うとのこと。まるで和式です。

「玄関」の概念があるのは日本と韓国だけです。玄関は、衛生面や健康面から見て、非常に優れています。一日中、外を歩き回った足は疲れていますが、家に帰って靴を脱ぐと足は解放されて楽に感じます。そして、裸足で室内を歩き回ることで足の裏が刺激されます。外を歩き回った靴で家の中を歩き回るのは不衛生です。日本人は、昔から、白足袋を好み、足袋の裏の色が汚れていると「あそこのうちはだらしがない」というくらい、室内を清潔に保つことをよしと考えていました。昔から衛生的な面に気を遣っていたのです。“上足文化”は、日本人が長寿国となった理由の一つだと思います。

畳の暮らしでは本家本元の日本はどうでしょう。玄関で靴を脱ぐ上足文化圏に、靴を脱がない下足文化圏から椅子が入ってきました。 椅子やテーブルなど家具という概念がもたらされたのは明治になってからですが、一般家庭に置かれるようになるのは、関東大震災の後です。日本家屋ながら、洋風の応接間を作り応接セットを配しました。戦後、本格的に住宅の洋風化が進みました。家の中の畳の割合はどんどん減っていき、床の間や障子や縁側も姿を消し、またその姿をとどめてはいても、本来の機能や美しさはありません。上足文化と西洋文化はうまく融合するのでしょうか。

最近、京都の町家に手を入れ、活用する動きが注目され、それを機に、各地で古い日本家屋、しもたやの人気が上昇しています。靴を脱ぎ畳に座るスタイルの飲食店も多くなっていますが、目の付け所や古いものに新しい息吹を吹き込み生き返らせる手腕は、なかなかおもしろいと思います。これは、日本人の上足文化への回帰の現れとみていいのでは。

すまいは和式と洋式のどちらが良いのだとろうかと、真剣に考えたことがありました。そのとき、内の会社の役員に聞いたら、20人中10人が椅子を背もたれにしており、7人は椅子の上にあぐらをかいており、3人は椅子の上に寝ているということでした。洋間なのに和式の生活をしていたのです。居心地の良さを考えると、足を投げ出して座たっり、好きなときに横になれる和室のほうが優れています。寝室は湿度の高い日本ではベッドではなく、布団を上げ下げする和室の方が合理的です。そうすると、個室も和室の方が使いやすいことになります。ゲストルームは当然和室のほうがもてなしが丁寧となります。結局、家の中には洋間のほうが良い部分は、ダイニングとトイレの2ヶ所です。

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