玄関
玄関は正式の出入り口であり、内外のけじめをつける場です。履物をはくとさあ行くぞという外向きの気分になり、帰宅して履物を脱ぐと、ホッと緊張から解放されます。玄関は気持ちの切り替えの場所なのです。
突然の訪問客があったときなど、玄関はとてもありがたい場所です。わざわざ上がってもらうほどの用件ではなくても、訪ねてきた客を立ちっぱなしにさせておくわけにもいきません。上がり框に腰をかけてもらえるし、お茶も出せます。部屋に上がってもらう場合も身なりを整えたり、部屋を片付ける間、少々待ってもらうにも玄関ならさほど失礼ではありません。
若い独身者がよく住んでいる、ドアを開けるといきなり部屋というワンルームマンションは、けっこう不自由なのではないでしょうか。そういえばアメリカの一般住宅も、ドアは二重になっていますが、玄関のようなワンクッションがなく、入るといきなりリビングとなる。私の知人はアメリカ人に、狭い家なのに玄関は無駄ではないか、玄関をなくして居室を広くしたらいいのではという意味のことを言われました。この意見、どう思われるでしょうか。ムダも日本の文化のはずです・・・。
間がないものを「間抜け」と言います。「間」を日本人は皆んな理解しています。よい建築物は「間」があることだと思います。日本の音楽と同様に、日本人は時間の「間」、空間の「間」を発見しているのです。