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箸の文化

箸というのは、二本の箸さえあれば、何でも食べることができます。それにひきかえ欧米ではフォークとナイフ。しかも、いろいろな大きさのもの、いろいろな形のものが数多くあって、食べるものによって取り替えなければなりません。どんなものが出てきても箸だけで通すことが、知らず知らずのうちに、何千年の時代を経て日本人の器用さを磨いてきたのだと思います。硬いもの、柔らかいもの、それに豆のようなつかみどころのないものと、いろいろな食べ物に対することで器用さが高まっていきます。こうした器用さ、箸の先の微妙な力加減を調節できる能力が、日本の世界に冠たるハイテク技術にまでつながっていったのでしょう。日本と中国と韓国に箸の文化があります。

ちなみに、今までの経験から言うと、手先の器用な人は小さいときから自分でいろいろなものをつくっているので創意工夫、創造的な能力が人一倍磨かれています。とりあえず手元にあるもので何かをつくり上げようとすることは、それだけで工夫と想像力があるということであり、創造力が必要とされるのです。

いろいろな人が言っていることですが、日本がこれほどまでに躍進したのは、日本人の器用さにあずかって力あったのでしょう。日本人が欧米の人たちに比べて、手先が器用なのは私の周りを眺めてみても確かなようです。

日本の建築がこれほどまでに豊かで微妙な繊細さに満ちているのは、ある意味で日本の建築がこうした器用さを活かした手づくりだったからです。建築学科卒業生の入社試験に、板(ぬき)と、鋸、金槌でみかん箱を作ってもらうテストをしたことがあります。定規がない、鉛筆がない、図面を書く紙がない、と大騒ぎをして出来なかった人が大半でした。不器用では建築の仕事は出来ません。別の人生があるはずと申し上げたことがあります。

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