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人に優しい家

今や、わんぱく坊主なる言葉は死語になってしまったようですが、子どもはわんぱくのほうがいいと思っているので寂しいかぎりです。わんぱくがいなくなってしまった要因には、外で思い切り遊べる場所がないとか、塾通いや稽古事で子ども自身が忙しいなど多々ありますが、家の構造や住環境にも原因があると思うのです。まず、いま思う存分に取っ組み合いの兄弟喧嘩ができる家がどれほどあるでしょう。兄弟喧嘩は子どもの成長過程において重要な意味をもちます。自分以外の人間とぶつかり合うことで、自分の思いどおりにならないことがあることや、他人の痛みを知ることなど、学ぶことは多いのです。しかし、コンクリートの壁に囲まれた家では、下手をすれば怪我に結びつくので、兄弟喧嘩もできません。だから兄弟喧嘩のできる家、わんぱくが育つ家が必要なのです。その解はやはり日本古来の住まいづくりにありました。木をはじめ土壁、ふすま、障子、畳という人に優しい建材を駆使した昔ながらの家です。穴が開いたりへこんだり、破けたりはしますが、子どもたちに怪我はさせません。人に優しいことは住宅の重要な性能です。そのためにも、人に優しい自然の素材を使った日本の住文化を忘れてはいけないのです。

わんぱく坊主が反省することもあります。父親と母親が、座敷で自分の将来を相談する話を聞いて、「自分のことをこんなに心配してくれている」ことを知り、反省してガキ大将が一人前の大人になっていったのだと思います。日本家屋でふすまを通じて音が筒抜けになるということは、本人を目の前にして叱るより、心配してくれる親の姿を見て反省をし、自ら大人になっていく効果があるのだと思います。また、ふすまで仕切られた兄弟が、お兄さんは受験、弟は音楽に精を出していたとします。弟は音楽を聴きたいのですが、隣にいる兄が勉強をしているのを邪魔してはいけないと我慢する。ここから人間のやさしさが生まれるのではないでしょうか。社会に出て人にやさしくする・しないということは家庭の中の親子・兄弟の関係から始まり、学んでいくことだと思います。

現代の家は、壁で仕切られているので大きな音を出しても隣に聞こえないという、物理的に遮断していることが優れているように理解されていますが、隣の人の気配を感じて、気を使うことがないということが、思いやりのない不完全な人間に形成していくのかもしれません。

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