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米国、大恐慌後の住宅復興策

「時代は100年住宅」といいましたが、行政も間違いなくその方向に進んでいます。「住宅の品質確保促進法」が施行され、住宅の性能表示制度が2000年からスタートしたのはその代表的な例です。そこでは100年ほどの耐久性を持つ住宅づくりが明確に意識されています。

しかし、この品確法も、米国と比べたとき、80年遅れということを認めざるを得ないのです。前にも少し触れましたが、住宅の性能に対する評価基準を米国は80年ほど前に作成し、実施していたのです。1929年の株式市場の大暴落、いわゆる経済大恐慌にまでさかのぼります。1925年には93万7,000戸にまで達し、順調な成長を続けていた新設住宅市場は大恐慌後に極端に落ち込み、1933年には実にピーク時の10分の1という9万3,000戸にまで落ち込み、しかもその大部分の購買者は富裕層に限られたのです。

そこで政府は中産階級の住宅需要を喚起するためニューディール政策の一環として連邦住宅局(FHA)を設立し、大規模な住宅金融の助成を行ったのです。具体的には、資金力に乏しい者が民間金融機関からの融資を受ける際に、政府が債務の保証を行うことによって低金利で長期の融資を可能にしたのです。この融資保証によって米国の住宅市場は1940年には60万3,000戸にまで回復しました。

ただ、ここで言いたいのは、保証対象となる建物の審査基準についてです。FHAは、大不況後にも関わらず、建物の性能、デザイン、近隣環境にいたるまで厳しい基準を設けて、住環境全般を向上しようとしたのです。デザインの評価基準など、将来、見込まれる転売のための市場価値を明確に念頭においていました。もっとも、近隣評価などは黒人やユダヤ人を差別する排他的なものとも言われ、現代ではこの基準に対する評価は分かれるようですが、住環境の評価を政府が融資の債務保証と結び付けて積極的に行ったという点では意義深いと思うのです。

ちなみに、審査基準は、シカゴの不動産コンサルティング業務を営む一家に生まれた経済学者であるW.H.ボブコック氏によってつくられたそうで、建築系の技術者でなく、経済学者によって、というのがなかなか興味あるところです。転売価値の高い住宅が評価された、と聞くと、なるほどと思わずにはいられません。次回は、この審査基準についてもう少し詳しく見てみたいと思います。

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