融資の審査基準
米国経済大恐慌後に連邦住宅局が設立され、住宅融資の緩和を中心にした住宅市場復興策が打ち出されましたが、ここで注目されたのが融資住宅に対する審査基準でした。
基準をつくったのが経済学者というところが面白いのですが、具体的には1)建物評価2)近隣評価3)近隣に対する建物の関係評価4)債務者の評価5)融資方法の評価――の5つの評価でした。
それぞれの評価軸は100%を上限とし、いくつかの採点項目に分かれ、5段階で評価されます。例えば、「建物評価」は適合性(配点30%)、機能性(同35%)、耐久性(同35%)の3項目に区分され、それぞれがさらに細かく分かれます。適合性では配置計画、建物のデザイン、気候への適合度に分かれ、このうち配置計画の配点がもっとも大きく15%で、もっとも高い評価として5段階目の15%が与えられます。
詳しくは下表を参考にしてみてほしいのですが、機能性では快適性が15%、耐久性では構造の安全度が20%と配点ウエートが高いということで、その重要度をうかがい知ることができます。ちなみに、1項目でも「却下」の評価を受ければ融資保証は得られませんでした。5段階の評価に際してはさらに細かい基準がありましたが、「建物の評価」は市場価値が高く、将来にわたって不動産としての転売価値が高い住宅が好まれたことは間違いないようです。
審査基準をつくったW.H.ボブコック氏が語っている言葉からも、審査基準の思想が伝わってきます。例えば、「建物のデザイン」の解釈について「もし住宅の姿が内部のプランや使われている材料が単純で、直接的な表現であれば高い評価が与えられるだろう。一方、低い評価はあらゆる側面から十分に検討されていない姿を持った住宅に与えられ、誤った屋根の葺き方や梁の使い方、難しい材料の扱い方は評価を悪くするだろう」という具合です。
「近隣評価」「近隣に対する建物の関係評価」については、近隣の性格を一定に保つために年齢、人種、収入面においてできるだけ同質の人たちによってコミュニティが形成されることを求めました。そのため、将来、黒人やユダヤ人の住みそうな場所への融資保証は拒まれ、彼らへの転売は拒否されました。いずれも資産価値の低下につながり、長い期間にわたっての保証面で問題が生じるからです。まあ、このあたりが後に、同基準の評価について物議をかもすことになるのですが、“資産価値”に踏み込んだとき、当時はこういう姿になってしまったのでしょう。