20年前に提案、ホームロボ
経済産業省の「次世代ロボットビジョン懇談会」ではロボット関連産業の市場規模を予測しています。 ロボットが注目される背景には日本の社会経済的な要因と大きく関係しています。少子高齢化社会の進展に伴い生産人口が少なくなるなかで人間の生活に携わるさまざまな役割・仕事をロボットにしてもらおうというわけです。介護需要への対応、防災・セキュリティ対策、自由時間の創出や充実――などです。
ロボットが生活のなかにどのように入り込んでくるか――。私は20年ほど前にホームロボの開発に着手し、何種類かのロボットを提案、試作も行いました。それまではHA(ホームオートメーション)という言葉がよく使われ、家事作業の自動化、機械化という要素が強かったのに対し、提案したホームロボは生活を楽しむ道具、心を豊かにする道具として、生活の新しい楽しみ方を実現することに力点を置きました。その当時、試作したホームロボをちょっと紹介してみましょう。
まずは「ハイテクバスロボ」です。シャワー、洗面、トイレを完全に一体化させ、空調、照明、気泡マッサージ、ボディドライヤー、TVオーディオなどの健康・清潔・娯楽のための機能をワンユニットに合体、統合しました。また、和・洋・中華など300種類を超えるメニューの調理方法、材料の選定、カロリー計算をこなす「グルメロボ」、カウチ(長椅子)に座ったままで、部屋の照明や空調、AV機器をコントロールでき、しかも自由に部屋中を動き回ることのできる「カウチロボ」、さらにはこれとAV機器をシステム化させた「ホームシアターロボ」、人工知能、音声認識、超音波などの先端技術を駆使し、さまざまな形態の食事を演出、調理できる「パーティロボ」。
さらに「瞑想ロボ」もいました。ストレスがたまった時、静かにものを考えたい時、気分転換したい時などの疲れを癒すための空間です。雪のかまくらや、一人乗りの宇宙船をイメージしたカプセルで作られています。生科学の面から見て、人間がリラックスした状態になるのは、脳波にアルファ波が多い時とされていますが、アルファ波が発生しやすい環境をつくり、リラックスした状態へと導く空間がこの瞑想ロボットなのです。
当時は、本格実用化までには行きませんでしたが、現在は各方面で同じようなコンセプトで開発中のものがかなりあるようです。いずれも、貴重な時間を手にした家族が自分の自由な時間を手に入れ、またコミュニケーションを深めることになるでしょう。