西堀さんの「幽霊クラブ」
西堀さんに関してこんなエピソードもあるので紹介します。
西堀さんは「幽霊クラブ」というものをつくっていました。幽霊の目方を量ろうとクラブをつくったのです。そのクラブに何度かお誘いを受けました。実際には行く機会がなかったのですが、聞くところによると、巫女さんを呼んできて、巫女さんがお祈りをする。魂が乗り移ったとき、魂が抜け出たとき、それぞれの体重を平常時の体重と比較して霊魂の目方を量るといったようなことをしていたらしいのです。
幽霊クラブだけに、あるのか、ないのか分からない、わけのわからない話なのですが、大切なのは西堀さんがこうしたどこまでが本当で、どこまでが嘘か、わからないようなことにも真面目に取り組むだけの柔軟さをもっていたことです。
科学者でありながら西堀さんの言葉は、産業界にいる私たちに多くの示唆を与えてくれました。「お客さまの喜びをもってわが喜びとする」は、顧客満足を実現するきわめつきのものですし、「つくる人の自己検査が大事」と言われました。検査は警察と泥棒の関係ではない、つくり手が自ら検査することは、自らがつくったものに誇りを持つからこそである、と教えられたのです。「己の可能性を信じ、チャレンジすることが肝心。まずやってみろ」という言葉にも勇気づけられました。
ちなみに西堀さんのお墓は京都にあり、隣には石川五右衛門の墓があるといいます。生前「おれが死んで墓に入ったら、ペンペン草が生えるだろうな」「石川五右衛門の墓はいつ行ってもピカピカだ。えらいやっちゃ」と言っておられました。いつの時代にも泥棒がいて、尊敬する石川五右衛門の墓を磨いているのです。私も西堀さんの墓参りに行かなければと思っています。