世界標準は国際企業へ
規格についてはここ数年、JISやJASといった国内規格と、ISOに代表される国際規格との整合化が急速に進展してきています。その理由のいちばんは海外企業の日本市場への進出に当たっての貿易障害の排除ということであり、わが国の規制緩和推進の一環として進められたわけです。例えば、住宅用キッチンの寸法はISOに従うかたちでJIS規格の改正が行われたし、JASについても2×4工法用製材などはJAS認定を受けることなく、日本でそのまま使用できるようになっています。
しかしなんといっても、住宅産業界でもっとも重要な規格の整合化作業は「モジュール」なのです。メーカーや地域によって910mmだったり、1,000mmだったり、さらには日本の伝統的な尺モジュールも生きているなどの乱立ぶりは、国内の部品メーカーはもとより、海外メーカーからも国際規格との整合化を図りながらモジュール体系を統一してほしいという要望は強くあがっていたのです。そうした声に応えるかたちで、経産省はハウスメーカーや部品メーカーなどを交えた調査研究委員会をつくって議論を行い、新しいモジュール体系を打ち出してはいます。考え方の基準として、1モジュールを100mmとするもので、これはISO基準とも合致することになります。
しかし、実際にはこの100mmモジュールも、強制ではないこともあって、そう簡単にゴーサインというわけにはいきません。各地域における建築特性やメーカーの思惑が微妙に入り混じるからです。なにしろ、統一には膨大な設備投資も必要になります。ただ、これまでのように議論に議論を重ねていても前には進みません。100年河清を待つようなものです。すでに、他の産業界では市場の国際化のもと、規格・基準の国際標準化も大きく進展しています。住宅産業界もこの波に乗ることが何よりも大切だと思うのです。住宅価格の諸外国に比べての割高が指摘されている現状ではなおさらです。とくに、見逃してほしくないのは、規格の国際標準化は、わが国市場の海外企業への開放もさることながら、それ以上にわが国が海外市場に進出する際の競争力強化につながるという点です。
内需産業として語られることが多かったわが国の住宅市場ですが、モジュールの世界標準は、わが国住宅産業が中国、米国など海外市場への参入による国際企業への道を切り拓く起爆剤になるはずです。