再び米国大恐慌の教え
ノンリコースローンの導入を、という話をしました。万が一のためのローン利用者への救済策とも言えますが、このローンが普及すると、住宅の資産価値がことのほか問われ、良質な住宅ストックが増えていくのは間違いありません。金融機関が融資に当たって担保物件を厳しく審査することになるからです。
前にもお話しましたが、そのよいお手本がアメリカにあります。1929年の経済大恐慌のときに打ち出されたニューディール政策の一環としての連邦住宅局の大規模な住宅金融の助成です。具体的には民間金融機関からの融資を受ける際に政府が債務保証を行うことによって低金利での長期融資を可能にしたのですが、ここで注目されるのが保証対象となる住宅について厳しい審査基準を設けたということです。
大不況によって当時の住宅市場はピーク時の10分の1、年間9万3000戸にまで落ち込んでいました。こうした住宅需要を喚起するための連邦住宅局の措置だったのですが、そうした状況にもかかわらず、住宅の品質性能、つまり住宅の価値を重視したのです。ある意味、大不況時とあって個人信用はアテにならない、土地もダメだが、しっかり形としてつかまえることのできる住宅に資産価値を認めたということでもあったのでしょう。建物の性能、デザイン、近隣環境にいたるまで厳しい基準を設け、住環境全般を向上しようとしたのです。デザインの評価基準など凝ったものではなく、標準的なものがよいとされました。将来の転売のため売りやすいという市場価値を明確に念頭においていました。米国の住宅市場は、こうした政策により80年近く経った現在でも立派に残り、美しい街並みを形成するとともに、住宅流通市場でも高値で取り引きされているということです。
日本はいま住生活基本法が施行され、ストック社会への移行が明確に打ち出されました。アメリカに比べ80年遅れですが、200年住宅でこの空白を早く埋めたいものです。