家の中で音が筒抜け
日本の古い家屋は、ふすま障子で仕切られていましたので、家の中の音が筒抜けになっていました。プライバシーが保てないことから欠点のように言われてきましたが、子供の成長や、高齢化社会を考えた場合、家の中に誰かがいるという気配が安心感を与えます。昔は台所で母親が夕飯の支度をしている音を聞き、匂いを感じることで「ご飯ができましたよ」の一声で家族がすぐにそろって食事をすることができました。現在は同じ家に住んでいながら家族バラバラに食事をしています。何かが抜けているように感じます。
以前にもご紹介しましたが、ふすまの効果により、間接的に聞くことにより説得力が生まれ、相手の意思がきちんと伝わることがあります。ふすま越しに父母が話している家計のこと、子供のしつけのことなどを、盗み聞くのではなく、自然に耳に入ってくるので、自分の立場を理解し自立していくのだと思います。良い関係の家族があるとすれば、それぞれの気持ちを隠すことなく、理解し合い、察し合うということであると思います。ふすまの効果により人の気持ちを察するという、社会に出るための第一歩を自然と勉強していることになります。
フランク・ロイド・ライトは住宅の建築家として世界で最も優れた人ですが、フランクの造った家に、ドアが一枚もない家があります。ただ部屋の壁がうまく配置されているので、相に姿は見えません。そういう意味ではプライバシーが保てるのですが、ドアがないので音が聞こえます。また中にいる人の気配を感じられるように造られています。フランクは日本に比較的長期に渡り滞在し、旧帝国ホテルを始め、多くの作品を残しています。フランクは音が筒抜けになる日本の住宅様式を見て、ドアのない家を造ったのだと思います。現代、子供について考えさせられるニュースが多いわけですが、この辺を一度考えてみるのはいかがでしょうか。