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日本の住宅と林業についてレポート

MISAWA・internationalの市場開発の大原顧問の、日本の住宅と林業についてのレポートをご紹介します。

日本の住宅資産の実態
我が国の国富総額2,600兆円に対する住宅資産額は10%弱の250兆円。
米国の国富総額7,500兆円に対する住宅資産額は30%の2,500兆円。
年間住宅着工に大差がないのにもかかわらず、日本の住宅資産は米国の実に10%程度しかなく、いかに社会的資産として残っていないかがわかります。
中古住宅(既存住宅)の流通量の面で比較すると、
日本の住宅ストックは、5,400万戸で世帯数4,700万戸に対し家余りの状態にありながら、中古流通市場での取引きは年間18万戸程度。
米国のストック、1億4,000万戸で取引きは年間700万戸が流通しています。
日本の既存住宅は、市場に乗らず取り壊されているが実態であり、更には耐震基準に満たない住宅が1,100万戸という現状です。
これは、住宅の寿命にも裏付けられ、
耐用年数を比較すると、日本は30年足らずに対し、米国の45年、英国の75年という実態があります。
2003年時点での築後50年程度の住宅ストックがわずか4.7%218万戸しかありません。
欧米の築80年超の住宅ストック割合の20%を考えると、日本ではいかにスクラップ&ビルドが一般化しているかがわかります。
日本の住宅は、築後20年もすれば、残存価値はゼロに近い状況で、住宅ローンが完済するかしないかのうちに、取り壊されるという実態にあります。
これを家計で捉えると、
年収5倍ものローンを組み、返済で家計が圧迫され、ゆとりのない生活を余儀なくされながら、住宅の価値は年々減少し続け、20年で資産価値がなくなるという状況では、年収の5倍の住宅であれば、毎年年収の20%ずつ資産を失う事になります。
要するに、所得の20%を毎年失っている事になるわけです。
 高齢化社会に突入する中、地球環境面においても、経済的観点からも、スクラップ&ビルドの社会と明確に決別する時期にあることは、明らかです。

日本の住宅の実態
近年の日本の住宅は、
技術面における、強度や居住性に重点を置かれてきました。
強度については「耐震性」、居住性については「高気密・高断熱」等。
建材・住宅設備機器メーカーにより、システムキッチン・浴室・便器・洗面化粧台等、魅力的な商品が開発され、それが豊かさの象徴のように捉え、内外装の見かけ重視の住宅建築という状況にあります。
反面、最も重要な性能である筈の、「耐久性・長寿命」という考えは脇に置かれ、
4寸の柱が3寸になるなど、次第に構造材は細くなり、見えない部分に対する予算のしわ寄せが続きました。
今では、建築費に占める構造材の割合は10%程度しかなく、更には安い外材に頼り、生乾きのグリーン材で建てられる住宅まで現れる始末です。
これでは、耐用年数を延ばす事は不可能で、資産価値が毎年減少し続けるのも頷けます。
中古市場においても同様で、耐震基準などは脇に置き、目に付く設備機器の取替え等を中心としたリフォームによる流通が主流で、市場価格もそれらにより決定される現状にあります。
消費者が耐久性について認識する必要があり、業界として先導すべき問題と考えられます。


日本の住宅産業構造
日本の住宅産業は、工業化によって発展してきました。
その牽引役でもある、住宅の躯体部分の工業化を推進してきたプレハブ住宅ですが、事業性を重視するあまり規格化を推し進めた結果、企業の思惑に反し、思うように市場の拡大が出来ず、新設住宅着工数に占める割合が、19%台をピークに下がり続け、現在では12%台という状況にあります。
プレハブに押されながらも、圧倒的なシェアを占めているのは、16万業者ともいわれる地元工務店であり、また工法については、一部に2×4が普及しながら、在来工法が圧倒的多数を占めています。
住宅が足りない時代には、それなりの役割を果したといえるが、人件費等の固定費や商品開発経費がかさみ、本来工業化による建築コスト削減で下がる筈の価格に影響し、地元工務店との価格差が拡大した事や、画一化された商品構成がお客様のニーズの多様化に対応出来ない等が原因と考えられます。
地元工務店は、特に現場に近く管理も迅速に対応が出来るなど、非常に大きい潜在能力がありますが、反面、資金的裏付けやブランド力など、圧倒的に社会的信用がありません。
また、情報量が少なくデザインやライフスタイル等、世の中の動きに対応出来ず、人材の育成や工程また顧客管理等、近代化出来ず何か工夫がないと現状維持が精一杯の状況にあります。
今後、市場規模に応じて、自然淘汰や再編等に選別が行なわれ、総数が大幅に縮小される事になります。

日本の住宅政策
「住宅建設計画法」→「住生活基本法」へ
戦後復興から高度経済成長期を通じ、人口と世帯数が増加していく中、都市部への人口流入が続き、絶対的住宅不足の状況下で、住宅不足解消を目指したのが「住宅建設計画法」でした。
現在は、住宅ストックが世帯数を上回り、経済も円熟期に入り、本格的な少子高齢化時代を迎え、社会情勢も大きく変わる中、スクラップ&ビルド時代が終わり、住生活の豊かにすることを目指し「住生活基本法」が制定されました。
「住生活基本計画」が策定され、全国計画では、06〜15年度の10年間に、基本的安全性・高齢化社会対応・適切な維持管理などの10項目を柱に13に及ぶ成果指標を示しています。
例えば
・ストックの新耐震基準適合率;75%→90%
・ストックの省エネルギー対策率;18%→40%
・住宅性能表示の実施率;16%→50%
・滅失住宅の平均築年数;30年→40年、など具体的数値が示されています。
これら目標は、新たなマーケット産業創出につながり、様々なビジネスチャンスが生まれます。

更に、国土交通省は、
長寿命(200年)住宅推進のため「長期優良住宅の普及の促進に関する法律」を制定しました。
「長期優良住宅」とは、「構造・設備が長期使用構造等である住宅」の事で、構造の安全性・変更の容易さ・維持管理のしやすさ・品質性能から定義されます。
「長期優良住宅」は市町村長または都道府県知事の認定が必要で、認定長期優良住宅については、
登録免許税・不動産取得税・固定資産税の負担軽減や、住宅ローン控除額拡大など優遇され、
売買する際にも性能評価書を添付する事で、認定外住宅より高い価格で取引きされる事になります。

経済産業省では、
「今後の住宅産業のあり方に関する研究会」が中間報告のかたちで、「住み継ぐ」住宅システムの構築を打ち出し、適切な資産価値を保ち続ける仕組みの整備を目指しています。
また、学会・産業界の有識者による
「イノベーション25戦略会議」では、「200㎡、200年住宅」を例に挙げています。

まさに、スクラップ&ビルドからの脱却であり、良いものを長く使う方向への転換です。

200年住宅は、住宅寿命が6倍、メンテナンス費は家4軒分、差引き2軒分のプラスになる。
例えば、3500万円の住宅の場合、耐用年数35年だと1年で100万円の住居費がかかり、
200年では、住居費が1年で50万円ですみ、月割りにすると現行8万円が200年住宅で、4万円ですむ事になり、個人所得の向上が望まれない現在、大いに期待する政策であります。

地球環境と森林資源
地球環境問題は、世界が取組まなければならない、最大の課題です。
地球温暖化対策としての、日本の取組みが世界に問われております。
京都議定書で政府は6%のCO2削減を目標としましたが、現実は05年で基準年より7.8%も上回る状況にあり、相当の努力が必要になります。
排出状況を見ると、産業部門では基準年より削減されているのに対し、住生活部門は、37%も増加しており、これは住宅産業の責任でもあります。
一方、一大酸素供給地帯である熱帯雨林の消滅も深刻で、20世紀に入り既に40%が消失し、この状況を続ければ80年後には姿を消すといわれます。
原因の一つに焼き畑農業が影響しているものの、過度な森林の伐採も大きな要因であり、日本への輸出競争が大きく影響し、我が国の住宅産業の環境に対する責任も大きく問われています。
住宅産業としては、太陽光などによるゼロエネルギー住宅を目指すことは勿論ですが、その前に取り壊しによる建築廃材による環境負荷の圧縮に努め、住宅の長寿命化に取組む必要があります。
今後、中国やインドの経済成長による住宅需要を捉え、森林資源の確保の観点から、我が国住宅用木材の国産化対応が急がれます。

林業と森林資源の実態
日本の住宅に使用される木材の大部分は、外国産木材に依存している。原因は、主に国産木材の価格にあるが、国産木材流通量の絶対数不足は、林業労働者の減少につながり、人手不足による間伐停止林の増加から森林荒廃へ、その供給能力の減退へと悪循環に陥っています。
 林野庁によると、日本の人工林は約1,000万haあり、利用可能といわれる50年成の樹木は全体の3割にのぼり、これが10年後には6割に高まります。
蓄積量の増加が1億㎥/年に対し、供給量の2,000万㎥/年という実態です。
樹木は、生長時にCO2を固定し、生長につれCO2の固定化が鈍化します。その意味では、今ある木材を使用し、新たに植林をしなければ温暖化防止の効果も薄れます。
 日本の供給量対策として、都道府県毎に地元材の供給先に補助金を出したり、地元材普及のため地元産材を利用して建てる地元工務店ネットワークを立ち上げるなど努力はみえるが、ブランド力に欠け消費者に認知されず、営業も工務店にまかせ、普及するには至っていない状況にあります。

住宅産業の展望
これからの住宅は国産(地域)材、大断面がキーワード
 1.国産材使用 → 地元産業を活性化させ森林の循環を促進と地球環境に対応
 2.大断面構造 → 長期優良住宅により住宅資産価値を向上させ資源の循環に対応
 
事業化には社会的ニーズ、成長性、革新性に対応したブランド力が重要
 1.社会的ニーズ
 ・国産材自給率向上
 ・地域経済の活性化
 ・森林資源の活用により地球温暖化対策
 ・長期優良住宅の普及促進により循環型社会の形成 等々
 2.成長性
 ・既存中古住宅5,000万戸超の建替えストック
 ・国産材長期優良住宅のブランド化
 3.革新性
 ・真のゼロエネルギー住宅の開発
 ・健康で長生き出来る住宅の開発
 ・長期住宅ローンの仕組みの開発
 ・住宅に関する諸革新技術の開発

4.住宅需要120万戸が続く
・5,000万戸のストックで、40年で建て替えるとすると年間125万戸、30年で建て替えると166万戸となる。
・新たなライフスタイル、ライフステージの提案で住宅需要は引き続きあり、内需拡大の大きな柱である。

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