海外FX税金に関するそもそもの疑問
そもそも、海外FXで稼いだお金って、納税する義務はあるの?
日本在住の投資家の場合、海外FXで稼いだお金も、納税する義務が発生します。
国税庁
所得税法では、所得税の納税義務者を居住者、非居住者、内国法人、外国法人の四つのグループに分けてそれぞれ納税義務を定めています。
非永住者以外の居住者は、所得が生じた場所が日本国の内外を問わず、その 全ての所得に対して課税されます。
ということを意味しているので
日本に住所があり、日本人であれば
ことを意味しています。
つまり、
ということを意味します。
「海外在住の日本人なら、日本に納税する義務はないの?」
はい。ありません。
- 海外に在住している場合は、住んでいる国に対して納税する義務が発生します。
- 一方で、住んでいない日本では、納税する義務がありません。
これは租税条約において、海外在住の日本人が、住んでいる国でも課税され、日本でも課税され、という二重課税を防止するために定められている国際的なルールとなります。
どちらの国の居住者かを判定する基準というのは
- 恒久的住居の場所
- 利害関係の中心がある場所
- 常用の住居の場所
- 国籍
の順で判定し、どちらの国の「居住者」となるかを決めます。
「1年の半分を海外で暮らして、残りの半分を日本に帰ってくれば、外国での課税になるの?」
ケースバイケースです。
居住者(日本で課税)と非居住者(住んでいるが外国で課税)の判断は
とされています。
仮に
- 1年の半分の183日:香港
- 残りの182日:日本
であったとしても、総合的な判断で、日本で課税される可能性が出てくるのです。どちらの国の居住者になるかが判別できない場合は、両国の当局の協議によって決定されます。
まとめ
ということです。
海外FXで支払う必要がある税金
海外FXで支払う必要がある税金
海外FXで支払う必要がある税金は
- 所得税
- 復興特別所得税
- 住民税
の3つです。
海外FXで支払う「所得税」
所得税とは
を言います。
課税の仕組み
総合課税
を採用しています。
総合課税とは
を言います。
総合課税には
- 事業所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 給与所得
- 山林所得
- 一時所得
- 雑所得
があり、この合計額に所得税率をかけて、税額が決定する仕組みとなっています。
海外FXでの所得は「雑所得」に分類されます。
- サラリーマンの方であれば、「給料」と「海外FXの利益」を合算して、税額が計算される
- 不動産投資をしている方であれば、「家賃収入」と「海外FXの利益」を合算して、税額が計算される
- 年金収入を得ている方であれば、「年金」と「海外FXの利益」を合算して、税額が計算される
ことになります。
所得税率
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円~1,949,000円まで | 5% | 0円 |
1,950,000円~3,299,000円まで | 10% | 97,500円 |
3,300,000円~6,949,000円まで | 20% | 427,500円 |
6,950,000円~8,999,000円まで | 23% | 636,000円 |
9,000,000円~17,999,000円まで | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円~39,999,000円まで | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円以上 | 45% | 4,796,000円 |
所得税額の計算方法
海外FXで支払う「復興特別所得税」
復興特別所得税とは
を言います。
平成49年まで課税されます。
復興特別所得税率
所得税の2.1%
復興特別所得税額の計算方法
海外FXで支払う「住民税」
住民税とは
を言います。
から成り立っている地方税です。
課税の仕組み
前年の1月1日から12月31日までの所得に対して、翌年度に課税されます。
- 所得割額:所得に応じて課税される税金
- 均等割額:一定以上の所得のある方に均等にかかる税金
これに加えて
- 利子割:預貯金の利子等に課される税金
- 配当割:上場株式等の配当等に課される税金
- 株式等譲渡所得割:特定口座(源泉徴収あり)内における上場株式等の譲渡益について課される税金
が発生します。
住民税率
- 市町村民税 = 所得割:6% + 均等割:3,500円
- 道府県民税 = 所得割:4% + 均等割:1,500円
合計 = 所得割:10% + 均等割:5,000円
※所得割、均等割は、預貯金・配当・株式譲渡益がある場合は条例で税率を変更することができるため、自治体によって税率が変動するケースがあります。
道府県民税
- 利子割:5%
- 配当割:5%
- 株式等譲渡所得割:5%
が個別に課されます。
※利子割、配当割、株式等譲渡所得割は、条例で税率を変更することができないため、どの自治体でも一律です。
住民税額の計算方法
+ (利子額 × 利子割:5% + 配当額 × 配当割:5% + 株式譲渡益 × 株式等譲渡所得割:5%)
海外FXと国内FXの税金・課税の違い
違い1.課税の方法が違う
前述した通りで
が採用されています。
「総合課税」は、給与所得など他の所得と合算して、課税される課税方法のことで、海外FXでの所得は「雑所得」として計算されます。
が採用されています。
「申告分離課税」は、他の所得とは分離して税額を計算して、課税される課税方式のことを言います。
つまり、
- 海外FX:他の所得と合算して税額を計算
- 国内FX:他の所得と分離して税額を計算
という違いがあるのです。
違い2.税率の違い
海外FXの場合は
- 所得税:5.0%~45.0%
- 復興特別所得税:所得税の2.1%
- 住民税:所得割:10% + 均等割:5,000円
という税率になっています。
国内FXの場合は
- 所得税:15%
- 復興特別所得税:所得税の2.1%
- 住民税:5%
という税率になっています。
違い3.損益通算の違い
海外FXの場合は
- 別の海外FX業者の損益との損益通算が可能
- 海外FX業者のCFD商品の損益との損益通算が可能
- 不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の損失と損益通算が可能
です。
国内FXの場合は
- 別の国内FX業者の損益との損益通算が可能
- 「金先物」「原油先物」といった商品先物取引との損益通算が可能
- 「日経225先物」のような株価指数先物取引との損益通算が可能
です。
違い4.損失繰越の違い
国内FXのみ
となっています。
1年目に大きな損失が出て、2年目に利益が出た場合、1年目の損失と2年目の利益を損益通算した結果に対してのみ課税される計算となります。
国内FXは、3年間の損失繰越ができるため、税金面で海外FXよりも有利となります。
海外FXの場合は「損失繰越」はありません。
違いまとめ
国内FX
- 申告分離課税
- 税率が安い
- 損益通算が可能
- 3年間の損失繰越が可能
海外FX
- 総合課税
- 税率が高い
- 損益通算が可能
- 損失繰越がない
という違いがあります。