海外FXトレードで損失が出た場合に、税金で損失を控除することはできるのでしょうか?今回は、海外FXの税金における損失控除・繰越控除・損益通算について丁寧に解説します。
目次
海外FXの税金における損失控除はできる?
海外FXトレードで損失が出た場合に控除できるものはあります。ただし、国内FXトレードのようにわかりやすい繰越控除や損益通算ではないので注意が必要です。
給与所得などとの損失通算はできない!
海外FXで利益が出た場合には、総合課税として
- 利子所得
- 配当所得
- 不動産所得
- 事業所得
- 給与所得
- 譲渡所得
- 一時所得
- 雑所得
を合算してから、所得税率が掛けられて、所得税が決まります。
- 海外FX = 雑所得
に含まれるため、一件、海外FXトレードで損失が出たら、給与所得と損益通算して、税金が安くなるように思ってしまいますが、それはできないのです。
総合課税で損益通算ができるのは
- 不動産所得
- 事業所得
- 譲渡所得
- 山林所得
の4つの所得の赤字(損失)のみなのです。
国税庁
所得の金額の計算上損失が生じた場合に、損益通算の対象となる所得は次の所得です。
(1) 不動産所得
(2) 事業所得
(3) 譲渡所得
(4) 山林所得2 配当所得、給与所得、一時所得及び雑所得の金額の計算上損失が生じることはありますが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。
明確に
雑所得の損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできません。
と書かれています。
同じ雑所得同士との損益通算はできる!
他の所得と雑所得の損益通算は、できませんが、雑所得同士の損益通算(内部通算)は可能です。
雑所得に該当するもの
- 国民年金、厚生年金などの公的年金
- 勤めた会社から受け取る退職年金
- 金貯蓄口座の利益
- 定期積み金などの給付補てん金
- 海外先物取引
- 海外FX
- 海外CFD
- 海外バイナリーオプション
- 仮想通貨
- 副業としての原稿料、講演料
- ネットオークション売上
- アフィリエイト報酬
この中であれば、海外FXの損失を内部通算という形で、相殺して、税金を抑えることができるのです。
例えば
海外FXで50万円の損失があった場合、仮想通貨取引での100万円の利益と相殺することができて、50万円分の利益に対して税金が課税されます。
または
副業でライティングをしていて、10万円の収入があった場合、海外FXで10万円の損失があれば、相殺して、雑所得は0円で申告ができるのです。
海外FXでの損失は、雑所得同士であれば、相殺できることになります。
注意
国内FXや国内CFD、国内バイナリーオプションなどの国内取引は、総合課税ではなく、申告分離課税が採用されているため、海外FXでの損益と損益通算することはでいません。
法人化すれば損益通算ができる!
個人を法人化することによって、損益通算が可能になります。
法人として、FXトレード以外に別事業を行っていれば、法人税はすべての事業の損益を合算した上で、利益に対して課税されることになるため、法人事業の中での損益通算が可能になります。
FXトレード以外にも収益源がある方は、法人化した方が損益通算が可能になり、節税ができる可能性が高いのです。
損失繰越はできない!
国内FXの場合は、損失が出た場合、損失を3年間繰り越すことができます。
しかし、海外FXの場合は、損失が出たとしても、損失を繰り越すことはできません。
- 利子所得
- 給与所得
- 退職所得
- 配当所得
- 一時所得
- 雑所得
は、原則損失繰越が認められていないからです。
法人化すれば損失繰越ができる!
個人を法人化することによって、損失繰越が可能になります。
法人税法では、前期以前に生じた赤字は「欠損金の繰越控除」の規定により当期の損金に算入できます。
法人の場合は、10年間の繰り越しが可能になり、海外FXトレードであっても、法人として運営しているのであれば、10年の損失繰越が可能になるのです。
損失繰越を利用したい方は、法人化をして海外FXトレードをすることをおすすめします。
まとめ
海外FXトレードでは、国内FXトレードとは違い
そのままでは
- 損益通算
- 損失繰越
はできません。
「海外FXトレードで損失が出た場合に損益通算は使えますか?」
「海外FXトレードで損失が出た場合に使える控除はありますか?」